『文学少女』シリーズ最終巻 徒然感想

過去のトラウマから最年少で小説の賞を取ったこと隠して暮らす主人公・心葉
食べちゃうくらい物語が好きな文学少女・天野遠子
2人を中心とした事件を描いたシリーズ・本編最終巻。


読後しばらく放心状態になってました。
何てことをしてくれたんだ。


【ややネタバレあり】
「天野遠子というのは、この世に、存在しないはずの人間なのよ。」
前巻の意味深なラストのセリフ。
その意味とは・・・


物語を食べるという設定、今どき珍しい三つ編み長髪、17歳に似合わぬ母性・・・
確かに天野遠子って、かなり特異に見えるんですよね。
幽霊や幻と言われても不思議でない変わった魅力を持ってるんです。


だから「存在しない」という言葉の意味を色々考えてしまう。
天野遠子は主人公の前から永遠に消えてしまうのではないか・・・ずっとそう不安に感じざるを得ない。
完全に作者の思惑通りにハマってしまいました。


その答えが1巻から天野遠子の口癖に隠されているって事実も何だかニクい。
さすが演出が上手すぎです。



最終巻ってことで今までの全てを詰め込んであります。
若干詰め込みすぎなのと、人物の相関図などが複雑な点もあって、文学作品的に見れば評価は落ちるかもしれない。
ただ、小説としてのバランスより、伝えたいこと書きたいことを詰め込むことを選んでくれた作者の愛情がすごく感じれて素晴らしい。


物語の中の人物にも関わらず、それぞれの道を選んだ主人公や全ての登場人物の幸せな未来を祈りたくなる素晴らしいラストでした。





“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

本当は最終巻の前に読むべき番外編。
ラストを早く知りたいがために逆に読んじゃいました。


最終巻とセットで読むと「なるほどー」な展開です。
最終巻の遠子先輩のラストの手紙を踏まえて読むと色々ヤバいです。
遠子先輩が可愛すぎです。
何ですか、このニヤニヤ悶えるざるを得ない展開は。


他の巻と同様、物語の展開はハードな内容です。





“文学少女”の追想画廊

“文学少女”の追想画廊

こうなったら画集も購入。
本編で使われたイラストの他に、雑誌でしか見れなかったイラスト、貴重なラフ画などなど盛り沢山。
ファンなら買って損なし。


竹岡美穂さんの描く絵が本当に魅力的。
儚げで、繊細で、綺麗で・・・
高校時代の独特の甘酸っぱさが表れてて、見てて心を揺さぶられます。


心葉の高校卒業後のエピソードも収録。
ずっと登場人物の今後を見てたくなる作品だけに嬉しいです。