孤独の肯定 『MY LONELY TOWN』
- アーティスト: B´z
- 出版社/メーカー: VERMILLION RECORDS
- 発売日: 2009/10/14
- メディア: CD
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いつか感想を書こうと思いきや、えらい時間がたってしまった。
もうアルバム『MAGIC』も発売直前です。
B'zのアルバム『MAGIC』の先行シングルである『MY LONELY TOWN』。
ダークでヘビーな雰囲気ながら、心地よく耳に入ってくる不思議な楽曲です。
LINKIN PARKを思わせるような幻想的な機械音が素敵。
寺地氏が編曲に加わるようになってから音遊びが本当に豊かになったなぁ。
〜人はバラバラな生き物 それを忘れちゃいけない〜
歌詞は“孤独感”をこれでもかと突きつめたような内容。
だからといってマイナスの意味での孤独では決してない。
どちらかというと自分は前向きな歌詞のように感じた。
〜微妙な情に気づかない人を 雑なやつだと思っちゃう〜
この辺のくだりなんて誰もが共感するところじゃないだろうか。
「なんでアイツこの気持ちに気づいてくれないんだ!?」と。
恥ずかしいくらい自分だけしか見えてない典型的なダメ人間なパターンですが。(笑
でも心に余裕がないと結構これにハマってしまうのが人間というもの。
ここでは「微妙な情」が例だけど、
・○○(好きな歌手)のカッコ良さに気づかない人を センスの無いやつだと思っちゃう〜
とか、「自分のことしか見えてない例」って結構日常に溢れてると思うですよ。
〜でもきっと相手も同じ気持ち 隠しながら笑ってるよ〜
これだとBAD COMMUNICATIONなわけです。(笑
完璧に他人を理解することなんてできない。
だからといって独りで生きるべきだとか、そういう意味ではない。
〜ひとりではもう耐られない そう思うことは誰にもある〜
もうホントその通りです。
〜誰かとわずかに共鳴できることをなんとか見つけだして かろうじて繋がる〜
〜探してる そっと 何もかも見せあえる もうひとりの自分を〜
この辺なんてめちゃくちゃ共感です。
他人と理解し合えることはないと分かりつつも、やっぱり自分と同じ感性持ってる人を探してしまうもんなんですよね。
そして完全に自分を曝け出せる人、そんな自分の分身みたいな人と出会えるとめちゃくちゃ嬉しいんですよね。
しかし歌詞で書いちゃうか〜コレ。
カッコつけたい男には絶対書けない歌詞だわ。
こういう情けないことも書けちゃうのが稲葉氏の尊敬できるところ。
ところで、タイトルでもあり歌詞に何度も出てくる『My Lonely Town』、これってなんだろう?
人はよく「他人と繋がりたい」「真に理解し合えたい」と思うけど多くの場合上手くいかないもの。
そんな時は、人間関係に疲れて、「人って孤独なんだ」と感じ、1人になりたい気持ちになる。
そんな結局帰ってきてしまう場所(=孤独な心)、それを街に例えて「Lonely Town」と呼んでるんだと思う。
『孤独感』は稲葉氏の歌詞にには多く見受けられる。
〜強力な寂しさに負けない アイアンマンになりたい〜(DEEP KISS)
〜最後の最後は一人ぼっち 胸の中にだけおまえがいる どこにいようがかまいやしない 悔いなく輝けよ〜(SHINE)
〜歩き続けた先に見たいのは想像を超える風と光 そこに誰もいなくても〜(ARIGATO)
〜すべて知るのは到底無理なのに僕らはどうして あくまでなんでも征服したがるカンペキを追い求め〜(イチブトゼンブ)
稲葉氏も如何に孤独感と闘ってきたかが分かる。
人は孤独感からは逃げることができない。
「人は孤独だと思う心」と「他人と繋がりたいと思う心」、この矛盾を行き来する不安定な「さまよう心」。
これに触れる、つまりこの不安定な自分の気持ちを理解してこそ、他人と上手くコミュニケーションができるのだと思う。
『孤独の肯定』、難しいがどんな時もこれを意識してたい。
〜人はバラバラな生き物 それを忘れちゃいけない〜