沙村広明作品のススメ
他人から「なにかオススメの漫画あります?」と聞かれ、メジャーすぎてもマイナーすぎても微妙なそんな時、自分がよく言う答えのひとつに"沙村広明作品"がある。
沙村広明といえば人によっては『無限の住人』のイメージが大きいかもしれない。
しかし最近は1、2巻で終わる作品を積極的に発表しており、『無限の住人』のイメージとは大きくかけ離れた作風のものも多い。
それぞれの作品で作風が大きく異なるため、どれが一番好きになるかは人によってさまざまであろう。
そんな訳で簡単にそれぞれの作品についてまとめてみた。
(『無限の住人』以外で!)
①おひっこし
ギャグ★★★★★
シリアス★★
オススメ度★★★★★
初心者向け★★★★★
『無限の住人』連載時に発表し、あまりの作風の違いに当時の読者に衝撃と笑撃を与えた作品。
タイトル作品『おひっこし』は大学生の青春を描いた作品であるが、これでもかというくらい細かすぎて伝わらないネタが散りばめられている。
全部元ネタが分かるヤツがいたらそいつは変態だ。
ギャグだけでなく大もとのストーリーも苦い青春ものとしてかなり良い。
おまけで収録されている『涙のランチョン日記』のカオスなギャグも何気に超オススメ。
②ブラッドハーレーの馬車
ギャグ★
シリアス★★★★★
オススメ度★★★★
初心者向け★
1900年代初め頃の西洋のとある国を舞台に、男の慰み物とされる不幸な孤児の少女達を描いた作品。
読むと鬱になる漫画としても有名である。
いやもうだいぶ凹みます。(最後は少しだけ救われますが。)
この作品の少し前に女性の責め絵の画集を発表しているので、その影響もあると思われる。
沙村広明のドSな部分が一番出てる傑作なので、そういう作品が好きな方はぜひ読んでもらいたい。
③シスタージェネレーター
シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)
- 作者: 沙村広明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/23
- メディア: コミック
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ギャグ★★★
シリアス★★★
オススメ度★★
初心者向け★★★
ギャグものとシリアスものの短編をバランス良く詰め込んだ作品集。
内容も青春からSF、西洋風までバラバラ。
個人的には女子高生がひたすら時事ネタをダベるだけの『制服は脱げない』の雰囲気が好き。
あと沙村広明作品にしては珍しく正統派の西部劇『エメラルド』が美しくまとまっていて良い。
自由でユルい作品が多いが、沙村広明の色んな作風を知るには良い1冊。
ギャグ★★★★★
シリアス★
オススメ度★★★★
初心者向け★★★★
『おひっこし』以上にブッ飛んだ日常系SF作品。
どんなものでも(人でも)空気を吸い込むように食べてしまう摩訶不思議少女ヒヨスと、ホームレスになりたてのオッサンが主人公のお話。
最近、可愛い女の子がただおいしそうに食べるだけの漫画が流行ってるが、可愛い女の子がひたすら食べては吐きまくる漫画はコレくらいだろう。
相変わらず性癖とギャグセンスはレベルが高いが、比較的軽いノリの作品なので、沙村広明のギャグものの代表として最初に読むのも良いと思われる。
⑤ベアゲルター
ギャグ★★
シリアス★★★★
オススメ度★★★
初心者向け★★★
チャイナ服、女囚サソリ、ヤクザなど作者の趣味をひたすら詰め込んだような作品。
70年代のB級カルト映画のような雰囲気。
作者の作品の中では意外と無かった部類の作品だが、シリアスとギャグのバランスも良いので割と読みやすい作品だと思う。
⑥幻想ギネコクラシー
ギャグ★★★★
シリアス★★
オススメ度★★★
初心者向け★★★
SF作品寄りのブラックユーモアで珍妙なストーリーを集めた短編集。
今までのギャグものと違い、パロディを一切封じているので、「おひっこし」や「ハルシオンランチ」のノリを期待すると物足りなく感じるかもしれない。
沙村広明の天才的かつ変態的な想像力を味わうには最適な一冊。
ギャグ★
シリアス★★★★★
オススメ度★★★★
初心者向け★★★
⑧波よ聞いてくれ
波よ聞いてくれ / 沙村広明 - アフタヌーン公式サイト - モアイ
ギャグ★★★
シリアス★★
オススメ度★★★
初心者向け★★★★★
最新作で単行本化されてないが、第一話が無料で読めるのでとにかく読むべし。
そういう意味では入門編として最適。
内容は意外と沙村広明作品では少なかった比較的大人が主人公の日常もの。
少しギャグ寄りなので読みやすい作品。
そんな訳で、 まず⑧を読んで、もっとキレキレのギャグを読みたければ①や④を、シリアスものが好きなら⑦を、ヘビーな内容に耐性があれば②をオススメする。
また一冊で沙村広明作品の雰囲気を知りたければギャグもシリアスもある③や⑥から入るのも良いかもしれない。
もちろん⑤も重すぎず軽すきず面白いです。
いやもう全部おすすめなので全部読むべし。
ほとんど関係ないけど沙村広明関連のツイートで意外とリツイートとかされたやつ↓
漫画家同士の交友関係って何か癒される。すごいと思ったのは沙村広明。大学のサークルの先輩が冬目景で、後輩が玉置勉強で、五十嵐大介と同じアトリエで絵描いてて、漫画家になるように勧めたのが山田玲司という・・・
— さっぷ (@Sup_k_shin) 2013, 7月 5